しぶや有機農園
     
渋谷農園からの畑便り 〜アサンテ サーナ 渋谷農園ミニコーナーより〜

あさ市に渋谷農園のお野菜を並べてくださっている第3世界ショップ
その月間おたより「Asante Sana News」に、渋谷農園は、畑の様子などをお伝えする記事を、毎月ミニコーナーとして掲載させて頂いております!

こちらでは、その記事の内容がご覧頂けます。現在、過去の記事を少しずつアップしています。
畑で考え、感じている、あんなこと、こんなこと・・・少しでもお伝えできれば幸いです♪

2005年 2006年
- - 1月号 渋谷農園のほうれん草の冬
- - 2月号
3月号 春の芽吹き 3月号
4月号 4月号
5月号 5月号
6月号 6月号
7月号 7月号
8月号 8月号
9月号 9月号
10月号 10月号
11月号 お野菜たちの個性 11月号 お野菜の冬準備
12月号 土づくり 12月号 生きている土
2007年 2008年
1月号 暖冬の中のお野菜 1月号 真冬の温度対策
2月号 2月号 渋谷農園の歴史@
3月号 3月号
4月号 4月号
5月号 5月号
6月号 6月号
7月号 7月号
8月号 お野菜の健康管理 8月号
9月号 秋野菜の準備 9月号
10月号 もの思うお米 10月号
11月号 畑の冬仕度 11月号
12月号 渋谷農園のほうれん草のおいしさの秘密 12月号

2008年2月号 「渋谷農園の歴史@」

 こんにちは! 渋谷です。暖かい日が増え、一歩一歩春が近づいてきているのを感じます。

 今回は、渋谷農園が農薬や化学肥料を使わない農業を始めるに至った経緯をお話したいと思います。
 渋谷農園が農薬や化学肥料を使わない農業を始めたのは、私の父の代からです。昭和30年代、小さかった父は農薬散布の手伝いをしながら、農薬の鼻をつく嫌な臭いを覚えているそうです。

 父が無農薬無化学肥料栽培と出会ったのは、昭和48年。折しも石油ショックで、農薬や化学肥料の価格が高騰するとともに、消費者の方から「安全な野菜を食べたい」という強い要望が寄せられました。そのお声を受けて、少しずつ無農薬栽培に切り換える中で、ちょうど私が母のお腹にいた昭和53年。農薬害についての話を聞いた父は、妊娠している母に農薬散布の手伝いをさせてはいけないし、農薬のついた野菜を食べさせてはいけないと思い、農薬を使わない野菜作りを決心したそうです。けれども最初の頃は、いざ無農薬で栽培してみると大変だったようです。


▲農園内、杏の蕾
 何ヶ月もかけて育苗した夏野菜が、病気でなんの打つ手もなく次々と枯れていく。丹精込めて植えたキャベツが青虫に食べ尽くされ出荷できない。稲田では草取りに追われる−−頭の中でこうすればよいと分かっていても、体はひとつ、労力がついていけない。農薬を使わないということは、自分との闘いでもあったと父は言います。農薬の被害を第一に受けるのは、食べる方はもちろん、日常的に使用している私たち農業に携わる人間です。無農薬栽培は、消費者のためと同時に私たち自身のためでもあるのです。当時多くの人に「無理だ」「やっていけるのか」と言われながらも、父の強い志は変わることはありませんでした。 (続く)

2008年1月号 「真冬の温度対策」

 こんにちは! 渋谷です。季節はもうすっかり真冬、朝晩は身体が震えるほど冷えますよね。それでも例年と比べると、北風が吹き荒れることも少なく、日中は暖かいように思います。畑の山東菜やタアサイの中には、日中の暖かさを感じて、もう花を咲かせている子もいます。「もう春になった〜」と勘違いしてしまったウッカリさんです!

 さて、こんなに暖かな真冬だからこそ、毎日温度管理には気を配っています。中心は寒さ対策ですが、最近は暖かさ対策もするようになりました。「え〜っ」と思われるかもしれませんが、本当です! 朝晩の冷え込みはやはり厳しいため、露地のお野菜たちには寒さ&霜対策用に寒冷紗のようなものを一枚かけてあげることもあります(小鳥対策も含めて)。しかし、陽射しのある日中は暖かくなり過ぎてしまうことがあって、そのような場合には日中だけは寒冷紗を剥がしてあげる必要があるんです。特にハウス内では、日中は4月頃のような気温になることも多く、毎日ハウスを開け閉めして、暑すぎず、寒過ぎずの適温になるよう心がけています。

 暖かさ対策をするようになったのは、ほんの数年前から。気候が変わってきたな〜と思います。だからこそ、どんな環境も受け入れて、自然に身を委ねるようにと心がけています。自然を知り自然から学ぶことからこそ、自然に順応する方法を教えてもらえると思うからです。お野菜につく虫たちや、畑にはびこる草たちは、すでにその方法を知り実践している、いわば私たちの先生なんです。変わりゆく気候の中でも強くたくましく生きる彼らのように、自分たちもお野菜たちも適応する術を学びたいものです。


2007年12月号 「渋谷農園のほうれん草のおいしさの秘密」
  こんにちは! 渋谷です。もう毎朝しっかり霜が下りるようになり、両手にあかぎれができる季節ですが、お野菜さんたちもきっと寒さに凍えていることでしょう。でも、お野菜たちの生命力はすごい! 朝方は氷が張るほどに冷えているのに、それでも陽が出てくると、いつもどおり元気に成長しているんですから!
  さて、こんなに凍えるほど寒い季節になると美味しくなってくるお野菜が「ほうれん草」。嬉しいことに、渋谷農園のほうれん草は「しっかり厚みがあって 、それでいて甘い」とお客さんに言ってもらえています。今回はこのほうれん草の成長姿をお伝えします。
  渋谷農園では、ほうれん草は10月初旬に種を蒔かれ、ゆっくりゆっくり90日ぐらいかけて成長し、おおよそ12月下旬〜1月初旬あたりに立派な姿をみせてくれます。でも、ほうれん草の美味しさが発揮されるのは1月中旬くらいから。ほうれん草はゆっくり成長することで、葉は少しづつ肉厚になり、本来の味を創り上げてゆきます。そして、霜が下りるくらい 寒くなると、ほうれん草は凍ってしまわないように、水分を少なくし糖分を溜め込んでゆくため、さらに甘みが増すのです。
  私たちがすることは、ほうれん草の種を蒔いて発芽した後は、 「おはよう!今日はどうよ?元気に育つんだよ〜」っと話しかけてあげることくらい。ほうれん草自身が頑張って、12月以降の乾燥や寒さを乗り越えてきた結果が、彼らの美味しさなんです。ほうれん草の「いのち」そのものの味なのでしょうね!

△霜が下りた
ほうれん草

2007年11月号 「畑の冬仕度」
  みなさん、こんにちは! とうとう朝夕の冷え込みが厳しくなりましたね。ジャガイモや里芋も葉や茎が刈れ始め、ついに本格的に畑に霜が下り始めたんだと実感します。こうなってくると、畑では一斉に収穫が始まり、冬に向けて貯蔵の準備になります。近年は冬でも暖かい気候ですが、厳しい冬が訪れる地域では、大根はたくあんや切干大根、葉物は漬物、果物はジャムにしたりして、貯蔵していたようです。

 渋谷農園では、すべての野菜を収穫して貯蔵しなければならないほど冬の寒さは厳しくはなく、畑で越冬できるものもありますが、やはり畑の冬支度は必要です。特に葉物類(小松菜やほうれん草)の冬支度は念入りです。チンゲン菜やコカブ、水菜などは越冬できないため年内で収穫は終わりますが、小松菜やほうれん草は畑で越冬します。でも真冬でも畑で青々としている彼らは、実は、小鳥たちの素晴らしい食べ物にみえるようです。冬以外の季節では葉物をほとんど食べませんが、虫たちが息をひそめる冬だからか、それとも秋に美味しいお米や柿などを食べ過ぎて飽食に慣れてしまったのか、みんな一斉に葉物に群がるんです。それでしかたなく、真冬が訪れる前に、彼らには寒冷紗をかけて悪戯できないようにしておくのです。小鳥たちの食べ物がすっかりないのでは可哀想なので、収穫が終わった葉物などは残しておくんですけれど、ね。

 他にも、イチゴやニンニク、玉ねぎや青首大根、キャベツやレタスなども冬支度をしていますが、それはいずれまたの機会に!


2007年10月号 「もの思うお米」

 みなさん、こんにちは! ようやく朝夕が肌寒くなってきて、秋らしくなってきましたね。渋谷農園でも、コシヒカリ&餅米の稲刈りはもう終了して、残っているのは晩生の黒米だけになりました。今年は、猛暑、大型台風など、気象条件があまり良くない中、また無事に収穫までたどりつけたことに嬉しくなりました。

 渋谷農園は、地域の中では、最も遅くに稲刈りをする農園の一つです。周りの農家のみなさんが収穫し終わっても、たんぼにぽつんと渋谷農園の水田だけ稲が残っていることが多いので、とても風の影響を受けるんです。特に、今年は大型の台風が来たものですから、大丈夫か大丈夫か、とひやひやしたものでしたが、心配無用でした。稲穂が実るまでに、稲はしっかりとした茎を作り上げていて、強風に備えていたようです。

 実は、私は「植物は数ヶ月も先の気候を知っている」と思っています。そう思わずにはいられないような体験がいくつもあるからなんです。特に長い時間、同じ場所にずっといる植物の方がその傾向が強いように思えます。稲は、4月に種をまき10月に収穫されるまでに半年もあるので、農作物の中では長い部類ですよね。稲刈りをするときに、きまって今年の稲はどんなことを感じてきたのかな〜とよく想像しています。

 今年も黄金色に染まった稲穂をみることができ、そして、収穫を迎えることができました。みなさんの手元にお届けされたお米は、どんなお米でも、短くも長い時間が詰まっています。みなさんも、このお米はどんな時間を過してきたのかな、と想像してみてはいかがでしょうか。ご飯を頂くときの一つの楽しみになると思いますよ。


2007年9月号 「秋野菜の準備」
 こんにちは! 渋谷です。今年の暑さは非常に厳しかったですが、ようやく空が青く抜けるように高くなり、秋風が吹くようになってきましたね。田んぼでは、陽の光がさんさん降り注ぐ中、金色に染まった稲穂が風に揺られてきらきらしています。渋谷農園でも、もうすぐ稲刈りが始まる季節です!

 畑では、8月中旬まで、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、オクラなど夏野菜たちがずらっと並んでいますが、8月下旬頃になってくると、秋冬野菜に向けての準備が始まり、少しづつ畑の雰囲気が変わってきます。ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、イチゴなどの苗が順々に植えつけられ、それと同時に、大根、白菜、小松菜、水菜、コカブ、チンゲン菜、春菊、玉ねぎ、レタスなどの種を一斉にまかれてゆきます。

秋冬野菜では、これからだんだんと日照が短くなり、加えて気温も地温も下がってくるので、それに比例して生育がだんだんと遅くなってゆきます。種まきを1週間遅れると収穫が1ヶ月ずれたりすることも珍しくありません。秋冬野菜たちは、「播種時期」にとても敏感なのです。そのため、一回ですべて種まきを終わらせるような白菜や玉ねぎに関しては、種まき時期を2〜3日程度の誤差ですむように、事前に準備を進めています。逆に、小松菜、水菜、コカブ、チンゲン菜などの葉物類は、収穫時期が少しづつずれるように、8月終わりに最初の種まきをしてから、次は1週間後、次は6日後、次は5日後、次は4日後、次は・・・、と少しづつ間隔を縮めながら種まきをします。

逆に、レタスのような温度に敏感な野菜もいます。発芽温度が20〜25度と低めであるにもかかわらず、8月下旬〜9月上旬あたりには種まきしておかないと、立派なレタスには成長してくれなかったり・・・、繊細ですよね。

夏野菜たちは、十分な日照時間と温度があるので、大きな誤差も吸収してしまいますが、秋冬野菜たちはそうはいかないんです。秋冬野菜のポイントは、それぞれお野菜たちの個性を理解してあげた上で、いつでも種まき&植付をしてあげられるように、前々から十分に準備を進めておくこと、なんです。

10月終わり頃には、順々に、青々とした葉っぱを畑一杯に広げてくれます。そんな元気に成長してくれる野菜たちの姿をみると、いつも嬉しくなってしまいます。元気一杯の野菜たちを見るために、また今日も頑張ります!


2007年8月号 「お野菜の健康管理」
 こんにちは! 渋谷です。今年は8月からの暑さが厳しかったですね。猛暑対策をしていても、日照りと乾燥があれほど続くと、さすがに野菜たちもかわいそうでした。

さて、猛暑の夏には「暑さ対策」や「散水」などの予防的な健康管理が最も大切ですが、生育がよくない野菜や病気になってしまった野菜の対処的な健康管理も必要になってきます

まずは、野菜たちもそれぞれ個性がありますので、彼らの個性を理解してあげることから始まります

生育が良くない場合の対処として、千両ナスをとりあげてみます。彼らは、暑さには強いけれど、乾燥には弱い。適度な水分と「ご飯もたくさん欲しいな〜」、というような性格です。水が欲しければ水を、ご飯が足りなければ無駄に体力を使うのを控えるように実を落としてあげたり、葉っぱ一つ一つに陽の光がよくあたるように枝を剪定してあげます。ご飯が足りないからといって、すぐご飯(肥料)をあげたりすると逆に病気になってしまうことって多くあります。同じナスでも真黒ナスは、生まれた時から「肥料なんていらないから、陽の光を一杯欲しいな〜」「剪定して〜」と言ってきます。このように、彼らの個性を理解してあげて、小さな声に耳を傾けてあげると、彼らもそれに応えて元気になってくれるんですよ。
 さて、病気になってしまった場合の対処としては、なかなか難しいものがあります。まず、野菜の個性を考え、彼らの直接の声に耳を傾けます。それに加えて、最近の気候を思い出してみたり、周りにはどんな草が生えているのかを観察してみることで、野菜たちからの声がよりはっきりしてきます。その上で、どんな病気かを見極めてあげて、その原因を取り除いてあげます。土が湿りすぎていれば溝を掘って水はけをよくしてあげるとか、葉に病変がでてくれば葉を落としてあげるとか。どんな些細な対処でもすべてしてあげて、あとは野菜の生命力を信じて、静観していることしかできません。それでも病気が治まらない場合には、本当に可哀想なのですが、他の株に病気が移らないように抜いてしまいます。一生懸命に生きている彼らの生を途中で奪うのは切ないのですが・・・、彼らの声を聞き取れなかった自分の未熟さと思っています。

 さて、気を取り直して。野菜の健康管理には技術的な方法はたくさんあります。でもどんな時でも最も大切なのは、野菜の個性を尊重して、彼ら自身が自然界に順応していけるようになることです。自然に抗っても、元気を失ったり病気がひどくなるだけのように感じています。本当に彼らが元気を取り戻すためには、自然界の規範や流れをきちんと理解して、その上での技術と精一杯の手入れが必要なのです。もっともっと自然の声を聞きとることができるよう、努力努力の毎日です!


2007年1月号 「暖冬の中のお野菜」
 こんにちは! 渋谷です。今年の冬はとても暖かくて、「冬」と呼べるのかどうかも疑問ですよね。「真冬だ〜、寒い!」と感じることはほとんどありません。昨年の同じ頃に比べると、畑の様子もすっかり違っています。
 昨年の冬は、ガタッと気温が下がり、加えて北風が強く、ほとんど雨が降りませんでした。それとは逆に、今年は、気温が下がらず、しかも北風もほとんど吹かず、雨の多い冬です。昨年と比較すると、強い霜もあまり降りていません。畑の野菜たちは、すでに、すっかり春気分で、通常なら3月にようやく咲き出す菜花にはもうつぼみが付いています。一年前と、ここまで気候が違うものなのかと、さすがに驚きでした。
 野菜は、たとえば地温が1違うだけでも、その後の生育には違いが明らかにでます。私たちにとって1の違いは、ほとんど気が付かないレベルですが、畑の野菜には大きなものです。その変化の結果が、良い方向にでることも、悪い方向に出ることもあります。

 野菜たちはちょっとした気候の変化から、数ヶ月先までの気候を読む力がある、と私は思っています。たとえば、カリフラワーは寒かった昨年は身の部分を葉っぱで隠し、暖かい今年は身が外から見えるよう葉を広げて、気候に合うよう、からだのカタチを自らで変えています。
 気候は年々あらっぽくなっているように思いますが、それに対して私たちが対処するよりも、野菜自身の生命力というか、野菜自身が自分で活路を見出せるような力をつくることの方が大切に思えます。しっかりと、厳しい環境でも生きていけるように、少しづつ少しづつ苦労をさたりして、自分で頑張る力を育ててあげるんです。野菜たちは、水とか栄養が少なければ自ら根を伸ばして探しにいったり、寒かったり暑かったりすれば体のカタチを自らで変えてゆく。野菜がそんな力を発揮できるよう手助けするのが、私たちの仕事だと、そう思います。


2006年12月号 「生きている土」
 こんにちは! 渋谷です。すっかり朝夕の気温も下がり、もうそろそろお野菜を洗う手が痛くなる季節です。あかぎれもすぐにできてしまうのですが、お野菜を食べてくださる方々の「美味しかったよ〜」の笑顔を思い出すと、なんだか頑張れてしまうものです。
 もうそろそろ家族や友人でお鍋を囲みたくなりますよね。そんな時には必ず、白菜と長ネギが登場しますよね。どちらにも大切なのは、やはり「土」。土にも生命力ってあるように思います。土がバランスがとれていて健康であると、まさに「生きてる」ようです。こんな土で育つ白菜や長ネギは、生命力はすごく強くて、病気や虫に強いんです。長ネギでは、肥料も使わずにぐんぐん育ってゆきます。白菜も品種によっては、肥料は必要ないようです。農薬がないと、とか、肥料がないと、とか言われるけれど、いつも本来お野菜にはすごい生命力が備わっているんだな〜と感動します。

 もちろん、白菜にも、長ネギにも成長の仕方に特徴があって、それにあわせてお手入れしてあげないとダメですけど。白菜は種をまいてから1ヶ月〜1ヵ月半くらいの幼い頃に気落ちよく成長させてあげること、であるし、長ネギは伸びてゆくスピードにあわせて土をかけていってあげること、なんです。
 お野菜たちも、暮らす場所が健やかで、成長に合わせて見守ってあげれば、とっても立派に成長するんです。かわいいですよ!

2006年11月号 「お野菜の冬準備」
 こんにちは! 渋谷です。11月中旬まではすごく暖かかったのに、急に冷え込んできて、すっかり真冬ですね。もう木の葉が枯れて、落ち始めていますね。このような時期になると、お野菜たちはもう寒さに耐える準備をしっかりと進めているんです。
 このように気温が下がってくると、ハウスやトンネルの中でヌクヌクしているお野菜たちと違い、お外で生きているお野菜たちはすぐに凍ってしまいます。そこで彼らは、凍らないための準備として、体内に糖分をため込んでおくのです。人参も、ほうれん草も、白菜も、みんなそれで甘みが増してゆきます。それだけではなく、葉っぱを厚くして寒さ対策もするため、葉ものは肉厚のお野菜になる。また、時間をかけて成長するため、お野菜自身が少しづつ味に深みが増してゆく、のもあります。

 「冬の寒さでおいしくなる」のは、お野菜が生きるために一生懸命に準備しているということの結果なんです。お野菜の生きるエネルギーが強ければ強いほど美味しさは増してゆくように思います。自然の中を生き抜くエネルギーをもった、生命力の溢れるお野菜を育てられるよう、これからもお野菜を見つめてゆきたいと思います。

2006年1月号 「渋谷農園のほうれん草の冬」
  こんにちは! 渋谷です。厳しい寒さはもう通り過ぎたのかもしれませんね。畑に出て肌から季節を感じてみると、12月ほどの冬の感覚はもうなく、春になり始めのような感じがしてきます。あまりの今年の冬の寒さに成長が止まっていた「ほうれん草」も最近は少し元気に大きくなり始めたような感じがします。
  この「ほうれん草」ですが、実に繊細な子なんです。たとえば、お彼岸あたりの暖かい時に種を蒔くと枯れてしまったり。10月中旬になってからのものは寒くて大きくならなかったり。雨がよく降るときは成長が止まってしまったままになったり、などなど。だから、とっても気をかけてあげないとダメになってしまう子なんです。
  それに、霜にしっかりあててあげると甘くて美味しくなるので、渋谷農園では真冬でも暖かくなるようにはせず、霜にあたるようにするため、真冬の時期にはすっかり成長が止まってしまうんです。ですから、成長と美味しさとのバランスをつねに気を使っています。
  「手が掛かる子の方がかわいいものだ」とよく言われますが、お野菜でもそうかなと思います。たくさん手をかけてあげた子たちが、立派に成長した時の喜びはひとしおですし、それ以上にその子たちが皆さんに喜ばれた時はこれ以上の嬉しさはないんですね。今年も「ほうれん草」はよく元気に育っています!

2005年12月号 「土づくり」
 こんにちは! 渋谷です。すっかり真冬ですね、しばらく何年も暖冬続きでしたが、久々の凍えるような寒さです。こんな年は、お野菜を洗う手が痛いくらいです。こんなときには、ふと、みんなの手に目がゆきます。おばあさんも、我が家で働くみんな、指が太くしっかりしていて、仕事向きの働き者の手なんですよ。
 さて、冬の時期の主な仕事は、土づくり。落ち葉を集めてきたり、炭を畑に蒔いてみたり、堆肥を土に混ぜ込んであげたり、土を綺麗にしてくれる麦を蒔いてあげたり。お野菜が来年もまた元気よく育つように、土のお手入れをしてあげるんです。一日に2〜3tも土を動かすこともあるんですよ。
 土づくりには本当に神経を使うんです。一つ一つの土地、10メートル離れたところでも土づくりの方法が違います。逆に手をかけなかった方が良かったりもするんです。土を観察して、どう判断するのか、観察力が最も大切なセンス。大地の力が発揮されるかどうかは、土次第なんですから。
 
土は私たちのすべてです。

2005年11月号 「お野菜たちの個性」
 こんにちは! 渋谷です。すっかり寒くなりましたね。もう今年もあと一月。しぶや農園では、もうお野菜のお手入れがほぼ一段落して、あとはお野菜たちの生きる力に任せるだけになってきました。
  しぶや農園では、長い間やってきたとおりの有機肥料を与えたお野菜と、肥料を与えず大地の力とお野菜の生命力とで育てたお野菜とがあります。肥料を与えないお野菜をはじめて、もう2年ほど。育て方によって、お野菜の姿もずいぶん変わるんだなと毎日が気づきの連続です。2つのやり方でお野菜を育てることで、それぞれのお野菜の個性が前よりも分かってきている実感があります。たとえば、小松菜はとても強い生命力を持っているのだなとか、ほうれん草は結構デリケートなやつだなとか。
  お手入れがほぼ終わった今では、あと彼らの成長を見守るだけ。ちょっと心配な子もいるけれど、みんな元気に育って、皆さんの元に行ってもらいたいな。

2005年3月号 「春の芽吹き」

春の芽吹きの季節。梅の花が咲き、桜のつぼみがつきはじめました。お野菜たちも、特に収穫されるにんじんや長ネギたちも、秋冬の寒さを耐えて、待ち焦がれていた春の季節を喜んでいるように、もこもこ動き出してる。秋から冬の間にぐ〜っと溜め込んでいたようで、生きるエネルギーが満ち溢れてますよ。

 今、畑では、5月くらいを目指して、コカブ、小松菜、にんじん、三東菜、紅苔菜、チンゲン菜など芽を出してきています。新玉ねぎや春菊さんは、今すくすく元気に成長して、4月ごろには素敵な頃。でも、今一番かわいいのが夏のお野菜。トマトさん、ナス君、ぴーまんさんたちは、まだ子どもで寒がりで、寒くて寒くて震えてるんだけど、6月くらいを目指して奮闘中なんです。手のかかる子ほどかわいいものなんですよ。「みなさんに早く会えるといいなぁ〜!」


△ピーマンの苗